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『桜蘭高校ホスト部』が大好きな管理人の、二次創作サイトです。

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切なき秘め事 -Additional Episode-

切なき秘め事 -Additional Episode-

* * *

「鏡夜様、あと二十分ほどで到着いたしますので、
 先方との約束の時間には、なんとか間に合いそうです」

黙ったまま運転を続けて、
ハルヒとの通話が終わるのを待っていた橘が、
鏡夜が胸ポケットに携帯電話を戻すと同時に話しかけてきた。
 
「そうか。スケジュール調整、御苦労だったな」

ハルヒを病院に連れていくために、
午後に入っていたいくつかの商談は、
代理を向かわせることで調整したものの、
今から向かう会社との交渉だけは、
鏡夜自身が行く必要がある重要なものだったから、
若干、病院で時間を長めに食った所為で、
約束の時間に間に合わないかと冷や冷やしていたのだ。
 
「……しかし、鏡夜様。今回の商談は、
 敬雄様に報告なしで進めて、本当によろしかったのですか」
 
今回の件は、父にも内々で進めている、鏡夜独自の交渉なので、
直接先方のオフィスに行くことはせず、
会談場所として須王でも鳳の系列でもないホテルを手配した。
 
「須王サイドに情報が漏れるのだけは避けたいんでな。
 急がないと時間もあまり無いことだし、俺一人の方が、小回りが利くだろう?」
「時間と申しますと、例の『特許切れ』の件で?」
「ああ……今ここで、須王に倒れてもらっては、
 俺としても、鳳グループとしても困るからな。
 うちの父親や理事長の裏をかくのは、なかなか骨が折れるが、
 もう俺も学生時代とは違うし、
 いつまでもあの人たちの掌で踊らされているわけにもいかない。
 橘、お前の契約を、父から俺に移しておいてよかったよ
 そうじゃなければ、お前は俺の行動についての報告義務があったろう?」
「そうですね。今は鏡夜様の直属となって嬉しい限りです。
 ……まあ、その所為で昼夜問わず働く羽目になっているとも申しますが……」
「ん? 『馬車馬』の約束を忘れたか?」
「も、もちろん覚えておりますよ」
 
前方に、目的地のホテルが見えてきたので、
鏡夜は首元のネクタイをきゅっと締め直した。
 
「鏡夜様。病院からここまで、特に後に付いてきている車はないようですが、
 くれぐれも入り口ではお気を付けください」
「ああ、分かってる。まあ、仮に誰かに見られても、
 その時は、お前の嫌っている『下世話な噂』が役に立ってくれるだろうしな」
  
余裕たっぷりに橘に笑みを返して、鏡夜は車を降りた。

到着した場所、鏡夜が今回交渉の場として押さえたホテルは、
普段、鏡夜が商談などで使うレベルのホテルよりは、
人目を避けるために、わざと数ランク質を落としていた。

だから、普段、社交場で顔を合わせるような、
自分を見知った人物に遭遇する確率は低いと思われた。

それに、万が一入り口で、鏡夜の顔を知っている者に、
ホテルに入っていくところを見られたとしても、
鏡夜のプライベートに関する色々な「噂」を逆手にとれば、
誤魔化すことはそれほど苦ではない。

まあ、その分、蘭花さんには、
それなりに迷惑をかけることにはなると思うが。
 
約束の時間ぎりぎりに指定の部屋に向かうと、
先方は既に到着していて、
予め先行させておいた相島と堀田が、その接待をしていた。

自分との交渉のために、
貴重な時間を割いてもらったことに礼を言った後で、
交換した相手方の名刺の肩書には、こんな文字が記載されていた。


 
『La Maison - Anneau S.A.』


 
   * *
 
了(続?)
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