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『桜蘭高校ホスト部』が大好きな管理人の、二次創作サイトです。

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君の心を映す鏡 -prologue-

君の心を映す鏡 -prologue-  (鏡夜&環&ハルヒ)

まだ、環がハルヒへの気持ちに気付いていない、
無自覚なお父さん状態のホスト部の設定を前提とした、若干パラレルワールドなお話です。


* * *

いよいよ冬の寒さも厳しくなってきた、
十二月のとある週末の金曜日。

「炬燵……出したのか?」


珍しく仕事が早く終わって、夜の十時を回った頃、
鏡夜がハルヒの部屋に足を運んでみれば、
彼女の部屋の真ん中に、やや小さめの炬燵が出されていたので、
彼は思わずぴたりと、部屋の入り口で足を止めてしまった。

「ええ、最近急に寒くなってきましたから」

今年の夏は酷暑で、残暑も厳しかったというのに、
十一月後半から、ぐっと寒さが厳しくなってきた。
窓際からしんしんと沁み込んでくる冷たい空気が、
上着を脱いだ鏡夜の背中をぞくりと振るわせる。

「今、浴槽のお湯溜めてますから。それまで……あ、お茶でも煎れますか?」
「そうだな。頼む」

そういえば、去年の冬は、炬燵を出してなかったな。

ケトルの音がひゅーひゅーと、部屋の中に響く中、
暖まった炬燵の中に久しぶりに足を沈めれば、
記憶の中の声が心の奥から耳元を叩く。


『オートリ君。君の家にコタツはあるのかな?』


毎年冬になれば、自分の部屋の炬燵の向かい側に、
当然のように居座って、いつまでも子供みたいに目をキラキラさせて、
沢山の夢を語っていた親友の声。

ハルヒに聞こえないように小さく息をついた鏡夜は、
眼鏡を外して、炬燵の上に置くと、
そのまま背中を倒して、絨毯の上にごろりと寝転がった。


『鏡夜! すごいことを思いついたぞ!』


頭の後ろに手を組んで、天井をぼんやり見つめながら、
思い出の中に意識を飛ばすと、
いつも自分のすぐ傍で騒がしかった、あの声が蘇り、
それは色褪せるどころか、
時が経つに連れてますます強くなっている気がする。


『鏡夜、覚えてるか? 一年前の俺との勝負』


それが最後の会話になるなんて
あの時は思ってもいなかったのに。

……環……。


彼が鏡夜の前に居ない冬も、今年で二度目になろうとしていた。

* * *

本編へ、続

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