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『桜蘭高校ホスト部』が大好きな管理人の、二次創作サイトです。

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君の心を映す鏡 -56-

君の心を映す鏡 -56- (ホスト部オールスターズ《受験中の人除く》)

問題集を買うために、ハルヒは環と一緒に本屋に出かけることになった。
環と初めてのデートとも言えなくはないが……まだ二人の恋愛は始まったばかり。


* * *

センター試験が始まった後、
試験中の環と鏡夜を除くホスト部一同は、
会場から一番近い常陸院邸で、
二人の試験が終わるのを待つことにした。

「ふうん、そんなことがあったんだ。
 たまちゃんは、やっぱりお間抜けさんだねえ」

暖房の効いた客間に通され、皆には飲み物だけなのに、
何故か……というよりむしろ当然と言うべきか
光邦の前にだけホールケーキが1つ出されていて、
ハルヒが、これまでの経緯を、
(デート云々のところはカットして)皆に話し終わると、
ケーキをぱくぱくとものすごい勢いで食べていた光邦が、
口をもごもごとさせながら頷いた。

「じゃあ、もしかして、この一週間ハルヒが俺達と食堂にもいかずに、
 昼休みに殿と第三音楽室に行ってたこととか……」
「放課後、僕らとホスト部のこれからの活動の打ち合わせもしないで、
 殿と一緒に車に乗って帰っていったのって……」

この一週間のハルヒと環の変化には、
光と馨は大いに疑問を持っていたらしい。

「うん。昼休みにも勉強をしないと間に合わないからって、
 一緒にお昼を食べるってことにして、
 ずっと勉強に付き合ってたんだよね。
 放課後も環先輩の家にいって、時間を測ったり、
 環先輩が問題を解いたのを自分が答え合わせしたりとか……」

色々と鏡夜や光や馨に、隠しごとをされていたお返しに、
センター試験を受験することは当日まで隠すと環が誓った所為で、
二人っきりで黙々と勉強をすることになったのだが、
結果として、ハルヒが鏡夜に頼まれていたこと、
『環を鏡夜の家に来させるな』ミッションは、
しっかり達成することができて良かったと思う。

この一週間、かなりのハイペースな勉強に、
付き合わされたことは大変な労力ではあったけれど。

「は~あ。なんだよ……あんなにべたべたと一緒にいたから、
 俺はもっと違う意味での急展開を期待してたのにな」
「本当にね」

光が嘆くと、馨がその肩をぽんと優しく叩く。

「なに? その急展開って」
「例えば、もう親への挨拶が済んでるとか、
 ハルヒが、あの性格悪いお祖母さんに認められて、
 須王の家に入るための花嫁修業を始めてる、とか、
 他にも、色々、僕と光で想像してたんだけど」
「は、花嫁修業!? って」

丁度、紅茶を口に含んでいたハルヒは、
げほげほと激しく咳き込んでしまった。

「だって、ハルちゃん。日本の法律では18歳になれば、
 親の承諾があれば結婚できるんだよ?」
「女性は16歳から可能だ」

【いつかその指に……輝く銀色の輪】

光邦と崇まで、馨の妄想に絡めてハルヒをからかい始める。

「た、確かに法律はそうかもしれませんけど、
 それは流石に飛躍しすぎですってば」

ハルヒは喉の調子を整えようと、咳払いをしながら、
しばらく胸を押さえて苦しそうにしていて、
そんなハルヒを皆が優しく笑いながら見守っている。


「もう、光も馨も、それに先輩達も、変なこと言わないでください!」


ようやく喉が少し落ち着いてきて、
ハルヒは胸に手を当てたまま何度も大きく深呼吸した。

自分達は、まだ恋愛のスタートの、
さらにそのスタートの地点に立ったばかり。
もちろん、この先の道を進んでいけば、
恋愛、結婚なんて流れもあるのかもしれないけど、
ハルヒにとっては、まだまだ遠い先の話のように思った。

それに、今、自分にはやらなければならないことが沢山ある。

高校を卒業して、大学に行って、法律を勉強して、
司法試験を受けて、弁護士になって……、
その一方で恋愛について考えていくなんて、
果たして自分にできるのだろうか?

そんなことを考えていたら、ハルヒは急に、
世の中の恋する人達が、皆、ものすごく偉大な人達に思えてきた。

皆、すごいなあ。

本気で恋をしながらも、もう一方で勉強したり、
仕事したりもできるなんて。
自分は恋愛について考えるだけで、
心のほどんとの部分を疲弊させてしまうというのに。

花嫁修業、というのはちょっと飛躍しすぎにしても、
自分も一歩ずつではあっても、がんばっていかないと。

ふと、ハルヒは腕時計を見た。

時間は11時ちょっと前。
もうすぐ二科目目の地理歴史の試験が始まる頃だ。

「どうした? ハルヒ」

たまに、ぽつぽつと言葉を挟むだけで、
比較的静かに皆の会話を聞いていた崇が、
ハルヒがぼんやりと窓の外に視線を向けている事に、いち早く気付いた。

「いえ、試験大丈夫かなって思いまして」
「殿と鏡夜先輩なら大丈夫だって。うちの主席と次席なんだから」
「センターって、マークシート式なんでしょ?
 当然二人とも満点取ってくるんじゃない?
 まあ、殿の場合は、慌ててマークミスってことくらいはあるかもしれないけどさ」

光と馨には不安は全くないようだったが、
ハルヒの心は冴えなかった。

「鏡夜先輩については全く心配してないんだけどね。
 環先輩についてはちょっと心配なことが……
「ハルちゃん、何が心配なの?

ケーキを食べ終わった光邦は、
トレードマークのうさぎのぬいぐるみを抱っこしながら、首を傾げている。

「実は環先輩、昼と放課後だけじゃなくて、
 夜も遅くまで勉強して、この一週間ろくに寝てないはずなんですよね。
 昨日くらいはちゃんと寝てくださいって言ったんですけど、
 どうやら明け方まで問題集解いてたらしくって、
 そんな睡眠不足の状態でテスト受けて、
 まともに解けるのかなあって心配で……」

* * *

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