『桜蘭高校ホスト部』が大好きな管理人の、二次創作サイトです。
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魔王様誕生日企画短編
恋人達の休日 -extra episode 2- (鏡夜&ハルヒ)
……一応、健全サイト、ということで何卒ご了承ください。
* * *
久しぶりに爽やかな目覚めを迎えられた。
朝、起き抜けの不快な頭痛も、今日は全く感じない。
自分の隣には、やわらかな布団に深く埋もれるようにして、
愛しい彼女が身体を丸めるようにして、すやすやと眠っている。
折角、いつもとは違って幅の広いベッドなのだから、
もう少しゆったりと眠ればいいと思うのに、
いつも彼女の部屋のシングルベッドで寄り添って眠っている所為だろうか、
彼女は、広いベッドの中央で、
自分にぴたりと寄り添って眠り込んでいるのだ。
彼女の首には、
昨日、彼女が探してきてくれたネックレスが輝いている。
ベッドに入る前に、
「外さなくていいんですか?」
と戸惑う彼女に、その必要は無いと答えた。
彼女が、自分が贈ったそのネックレスをつけてくれる姿を、
もっと側で、出来るだけ長く見ていたくて。
贈った当時は、環へのあてつけという意味以外には、
それほど深い他意はなくて、
単純に旅行土産として彼女にプレゼントしたものではあったけれど、
それでも、無意識に『ネックレス』なんてものを選択してしまったところ、
自分にはあの頃からずっと、
叶うことなら彼女を自分のものにしたい、
という独占欲があったということなのだろうか。
まあ、好きでもない相手からもらったアクセサリーなど、
きっと、一生つけてはもらえないのだろうと、
鏡夜としては、半ば諦め混じりに自分を納得させていたわけだが、
その後、自分は彼女と正式に付き合いだしたわけだから、
ネックレスのこともちゃんと指摘して、
もっと早く、彼女に使ってもらっていたら良かったのかもしれない。
しかし、なんとなく自分から言いだすのは、
自分のプライドが許さなくて、今まで曖昧に誤魔化していた。
だから、彼女がそれを身につけて、
自分の誕生日の日に、
なんとドレスアップまでして帰ってきてくれたときには、
正直なところ、涙が出そうになるほど嬉しかった。
「そこまで喜んでもらえるとは思いませんでした」
と、昨日の夜、彼女は苦笑いをしていたけれど。
ベッドの中の彼女の様子を見ると、
まだまだ起きる素振りもなかったので、
鏡夜は先にベッドを抜け出して、リビングに行き、
部屋に備え付けのコーヒーメーカーのボタンを押した。
程なくカップに熱いコーヒーが注がれていく。
コーヒー片手にベッドルームに戻り、
窓際に置かれたソファーに腰掛けて、
レースカーテン越しに外の眺めを見ていたら、
背後で、しゅっと衣擦れの音がした。
「起きたか?」
「ん……」
振り返ると、ベッドの中の彼女は、
布団の中で寝返りを打つようにして身体を反転させ、
一旦、うつ伏せになると、
枕に顔を押し付けるような格好で、何やら小さな呻き声をあげている。
「ハルヒ?」
見ていると、ハルヒは両手を枕の上に付いて、
一度は身体を起こしかけたのだが、
すぐに力尽きて、ぱさっと枕の上に倒れこむ。
「おい、大丈夫か?」
鏡夜の声はなんとか届いていたらしく、
ハルヒは、身体はうつ伏せのまま、
顔だけを横に向けると、うっすらと目を開けた。
「鏡夜先輩……おはよう……ございます……」
なんとか声を絞り出してはいたが、ハルヒの瞼はかなり重そうだ。
「おはよう、ハルヒ」
「今……何時……ですか?」
「ん? 10時少し前かな」
「10時……じゃあ、もう、チェックアウトしない、と……?」
未だ夢の中に半分ほど、意識が残っているような状況で、
現実的なことを言ってくるハルヒが、なんだか微笑ましい。
「いや、チェックアウトの時間は、午後まで延ばしてあるからな。
もう少し寝てても構わないぞ? それか、もう一泊しても構わないが?」
「……それはもう……勘弁……してください」
それだけ言って、ハルヒの瞼は再び落ちる。
どうやら、二度寝を始めてしまったようだ。
そんなに、ひどいことをした記憶はないんだがな。
などと、昨日のこと(正確にいうと日付が変わった後のこと)を反芻しながら、
鏡夜はハルヒのために朝食でも頼んでおこうと、
再びリビングに向かったのだった。
* * *
続
(エクストラ1と2の間は、皆様の脳内で自由に補完してください《苦笑》)