『桜蘭高校ホスト部』が大好きな管理人の、二次創作サイトです。
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魔王様誕生日企画短編
恋人達の休日 -5.5-
ようやくハルヒが自分の部屋に帰りついて、ドレス姿を鏡夜に見せていた頃。
その仕掛け人の人々の会話。
* * *
所変わって、ここは埴之塚邸の一室。
「は~。一仕事したあとのケーキはまた格別だねぇ」
なんだかとても満足そうな様子で、
パクパクとケーキをむさぼる光邦の隣には崇が、
テーブルを挟んだ向かい側に、どっと疲れたような顔つきの光と馨が座っている。
「また、ハニー先輩。そんな年寄りじみた口調で」
「ふぉっふぉっふぉっ。 あれ~? ひかちゃん、ケーキ食べないの?」
「こんな夜中に、なんでホールケーキをそんなに食べれるわけ?
俺、ちょっと胸やけしてきた……」
「ハニー先輩宇宙人説再び、って感じだよねえ」
ものすごく不満そうな光に調子を合わせつつも、
光邦が食べているものとは別に、各自に切り分けてもらったケーキに、
馨自身は少しずつ手をつけ始めている。
「まあ、僕、帰ってきたばかりで、まだちょっと時差ぼけしてると思うし~」
「光邦、お前はいつもそうだろう。
甘い物を食べるのはいいが、ちゃんと歯磨きしてるんだろうな?」
「う……。だって~、このケーキ、すっごく美味しいし~、
それに今日は、鏡ちゃんのお誕生日だよ?」
光邦はフォークを口にくわえたまま、うるうると目元を涙ぐませる。
「ハニー先輩はともかく、俺はケーキなんて食べてる気分じゃないよ。
大体、主役抜きで集まってケーキ食べるって、意味ないじゃん」
光はフォークは手にしたものの、
ものすごく不機嫌そうに口を尖らせると、
目の前に置かれたケーキを、食べもせず、
ただ、フォークでつんつんと粗雑に小突いていた。
「でも、僕は、今日はなかなか楽しかったかな。
久しぶりにホスト部で一致団結して動いた感じが懐かしかったし。
ハニー先輩が日本に帰ってきてくれてて良かったよ。
僕らだけだと移動手段はあっても、
蘭花パパがどこにいるか探しだせなかったと思うからさ」
「でも、まさか、アメリカから帰ってきた当日に、
熱海までヘリで行って帰ってくることになるとは、僕、思わなかったよ」
「無事、見つかって何よりだ」
「……」
うんうんと皆が一同に頷く中で、光は一人居心地が悪そうだ。
「光、いつまで拗ねてるつもり? 大体、光が言い出したことじゃん。
『絶対今日中に探すんだ!』とか言って、一番気合い入ってた気がしたけど?」
「そりゃそうなんだけどさ、なんていうか、
分かっていてもムカつくっていうかさあ……」
自分の隣で不貞腐れている光を、
馨は、全く仕方ないなあ、と目を細めて苦笑いしている。
「それにしてもハルヒは相変わらず天然だよねえ。
折角、鏡夜先輩からもらったプレゼントの存在を、今までずっと忘れてたなんてさ」
「そこは流石に俺も、鏡夜先輩に同情したけどね」
だからこそ、今日、ハルヒに電話をしたとき、
ネックレスが見つからないと困っていたのを聞いて、
それをホスト部全員で助けようと、光は考えたのだ。
「まあ、たまちゃんもハルちゃんも、
あの時は、鏡ちゃんの気持ちには、
全然気付いてなかったみたいだし。ね、崇?」
「そうだな」
「どうせ鏡夜先輩のことだから、あれは、
殿に対する間接的な挑発のつもりだったんでしょ?
ハルヒへのお土産だったら、チョコレートだけでもいいはずなのに、
よりにもよってネックレスを一緒に買ってくるなんてさ」
「単なる嫌がらせだったかもしれないけどね。
研修旅行中は結構苦労してたみたいだし、鏡夜先輩。
でも……結局殿にはあんまり通じてなかったみたいだけど」
「本当に鏡夜先輩のやることは、いつもいつも回りくどいっていうか、
俺らには何もかも隠してばっかりで卑怯っていうか、
結局、最後は全部美味しいトコ取りっていうか……」
鏡夜に対する不満を言う度に、
フォークを突き刺されていた光のケーキは、
スポンジ部分がぼろぼろに崩壊して、もはや原型の形を留めていなかった。
「ひ、ひかちゃん、ケーキが……」
顔をひきつらせた光邦の横で、崇は平然と言い切った。
「大丈夫だ。まだ、食べられる」
「え……モリ先輩、ここでそういう突っ込み?」
そんな冗談を言い合う和やかなムードの中で、
「はああ。もう、俺、何やってるんだろうかなあ」
と、光は一人頭を抱えて、テーブルの上に突っ伏した。
* * *
続