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『桜蘭高校ホスト部』が大好きな管理人の、二次創作サイトです。

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聖夜の願い事 -6 fin.-

クリスマス特別企画短編
聖夜の願い事 -6 Fin.- (鏡夜&ハルヒ)

12月25日、夜十時過ぎ。ハルヒの部屋にて。


* * *

「で……やっぱり、こうなるわけか」
 
首にタオルをかけてバスルームから出てきた鏡夜は、
見事に想像どおりというか、
ベッドの上で布団もかけずにすやすやと、
先に寝入っているハルヒの姿に思わず愚痴をこぼした。

ようやく、日本に帰ってこれたというのに、
あまりといえばあまりの態度なのだが。
 
まあ、俺がフランスに行ってから数日寝てないとか言っていたし、
今日は流石に責められないか……。
 
数日振りにハルヒをこの手に抱きしめて、
少し遅くはなったが、やっと恋人同士の時間を楽しめると思いきや、
ハルヒは鏡夜の姿を見てよっぽど安心したのか、
ちょっと揺すったくらいでは起きないくらいの、
完全な熟睡状態に入ってしまっている。
 
「……やれやれ」

とんでもないクリスマスになったものだな。
 
ハルヒは左腕に鏡夜がプレゼントした時計をしたまま眠っている。

果たして、彼女は理解してくれただろうか?
自分がこの贈り物を彼女へと選んだその理由を。

事前に予告しておいたことが功を奏したのか、
自分からのプレゼントを、
すんなりと受け取ってくれたことは素直に嬉しくて、
贈った時計を付けてくれている彼女の姿に、
優しく微笑みかけた鏡夜は、
彼女を無理矢理起こすことはせず、
おでこに軽くキスを贈ると、ハルヒに布団をかけてやった。

かつて、手に入らないと諦めて、
けれども、彼女が独りになってしまって、
自分の傷ついた心を癒して欲しいのだと偽って、
本当は彼女自身を救うために、自分の傍にいて欲しいと願って、
それから、彼女は自分を選んでくれて、
一度は離れたこの手を、再び握り返してくれた。

でも、もう、少し前のように、
ただ傍にいてくれることだけが俺の望みじゃない。

自分の願いはただ一つ。


これから先の長い道を歩く、
その時を一秒一秒大切に、彼女と共に刻むこと。


鏡夜は立ち上がって部屋の明かりを落とすと、
ベッドの中、ハルヒの隣に潜り込み、
彼女の肩に手を回して傍に引き寄せて、そのまま目を閉じた。

ハルヒが鏡夜のことを案じてくれていたように、
鏡夜自身もこの数日間、彼女のことをずっと心配し続けていて、
その心労が大きかったのと、
フランスへの長旅の疲れが重なったこともあって、
鏡夜も程なく、柔らかな眠りの中に落ちていったのだった……。
 
* * *
 
そして、翌朝。
 
数日ぶりにぐっすり眠ってすっきりとしたハルヒとは裏腹に、
クリスマスの夜に間に合うように、慌てて帰ってきたというのに、
ハルヒにさっさと寝付かれて、
何もできずにその日を無為に終えてしまった鏡夜の機嫌は、
いつもの五割増し悪くなっていて、
そんな寝起きの魔王様のストレスの矛先は、
当然ハルヒに向けられることになって、
ハルヒは午前中を棒にふる羽目になったのだが……。


それは、恋人達が聖夜の幸せな夢から目覚めた後の、別のお話。


* * *



(初稿2007.12.25 加筆・修正2010.2.20)

本来は全三話で公開したものを、
三話目が異様に長くなってしまったので、
それを分断して今回再公開しました。
2007年のクリスマスは三連休ということで思いついた寝たです。

なお、話の中で、随所に盛り込まれている未解決のネタは、
別の作品で明かされることがあるかもしれません(苦笑)

かなりやっつけで書いたので、随所に未熟な点が多々ありますが、
自分の現在の力ではこれが限度ですorz

素直に二人がべたべたした話を描けないのは、
もう自分の力不足以外の何物でもありません(汗)

次に再公開する短編『恋人達の休日』では、
再び苦手な甘い話にチャレンジした無謀な作品です。
なまぬる~く、読み進めていただければ幸いです。

2010.2.20 Suriya拝

 

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