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『桜蘭高校ホスト部』が大好きな管理人の、二次創作サイトです。

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私の心の半分 -8-

君の心を映す鏡 番外エピソード
私の心の半分 -8- (ハルヒ&鏡夜)

過去も現在も、彼女は『面倒な男性』がタイプのようです。


* * *

さっきまで、心ここにあらずといった風の鏡夜は、
急に超能力者がどうとか、意味が分からないことを呟いた後、
ハルヒが不用意に零した言葉を皮肉たっぷりに攻め立てて、
結局何時ものように傍若無人に、
ハルヒの意識を全部奪っていってしまった。

それから、どれくらい時間が経っただろう。

「………んんっ……?」

ようやく目覚めたハルヒが、薄目を開けると、
カーテンの向こう側、黎明の青白い光が透けて見えた。
どうやら、夜明けが近づいているらしい。

それにしても、いつのまに自分は眠ってしまったのだろうか。

隣を見れば鏡夜は静かに寝息を立てている。
ハルヒの身体をしっかり抱きしめたままで。

いつものことながら、なんて不公平な。

少々、腹が立ってきたハルヒは、
彼の肩口を拳でぽんっと軽く小突いてみた。
けれど、熟睡している彼がその程度の衝撃で目覚めることもない。

それならば……と、腕の中をすり抜けて先に起きようとしてみるのだが、
彼の腕が離れようとするハルヒの身体に巻きついて離してくれない。

全く……「本当に寝ているのか?」と疑いたくなってしまう、
これが『いつも』の光景。

考えてみれば、鏡夜がハルヒと一緒に眠るとき、
眠り込んでいる彼がハルヒから手を離している事はほとんど無い。


まるで、ハルヒのことを、
手を離してしまったら消えてしまう幻、とでも思っているかのように。


鏡夜先輩。

そういえば、昨日、貴方は言いましたね。

私が環先輩のところに置いている心は、そのままでいいと。
その心まで全部欲しいとは一生言わないと。
だからこそ、それを隠さないで教えてほしいのだと。

先輩がこんなにも私に過保護なのは、
もしかしたら、私がまだ先輩に、
見せてない部分があるからなのかもしれませんね。

もう絶対に変わることはない重たい過去に、
残したままの心の半分に、
現実で生きている残り半分の心が、
引っ張られていってしまわないかという恐怖。


それを、貴方は誰よりも一番良く知っているから。


鏡夜先輩。

私は相変わらずの口下手ですし、
感情を表すことも苦手なままですから、
まだまだ、貴方を不安にさせてしまうかもしれません。

でも、貴方が望むなら、
私は自分の心を貴方に対してちゃんと表現できるように、
出来る限り努力してみます。

貴方が常に、私を捉まえてなければならないという恐怖に、
怯え続けることがないように、
ちゃんと自分の思いの全てを、
貴方に見せることができるように、頑張りますから。

未だ、時には強がったりしてしまって、
本当に素直になれるまで、貴方には迷惑をかけるかもしれないけれど。

鏡夜先輩。

貴方は、私の恋人で、
貴方は、私の傷の痛みを知っている人で、
貴方は、私にとって一番大事な人で、
貴方は、私がこれから一緒にいると決めた人。

そのことに、もう、嘘や偽りや迷いは一切ありません。
だから、もう少しだけ時間をください。
私が、過去につながれた心までも全て消化して、
貴方に全部見せることができる時まで。

少なくともその日までは。



今ここに在る、私の心の半分を支配するのは、鏡夜先輩、貴方だけですから。



「鏡夜先輩、そろそろ朝……ですよー……?」

多分無理だろうとは思いながらも、
ハルヒは彼に一度小さく呼びかけてみる。

「……」

けれど、やはり鏡夜が起きる様子は無いし、
ハルヒのことを離す様子も一向にない。

仕方ないなあ、と声を立てずに笑ったハルヒは、
そっと目を閉じて、静かに彼の目覚めを待つことにした。

そうして、暖かな彼の腕の中で、緩やかな心臓の鼓動に揺られて、
いつものように至福の時間を自分の半身である彼と共に過ごすのだ。

ゆらゆら、ゆらゆらと。

たゆたう現実の時の流れの優しさに身を委ねながら。

* * *

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