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『桜蘭高校ホスト部』が大好きな管理人の、二次創作サイトです。

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君の心を映す鏡 -12-

君の心を映す鏡 -12- (ハルヒ&光邦&崇)

鏡夜からの告白を、彼の手を傷つけるという行為で拒絶して、環の事が好きだと認めたハルヒ。
それでも今は未だ、自分の気持ちを環に告げるつもりはないと言い切って、家路についたハルヒは……。

* * *

学校帰りに家に直行せず、
閉店間際の所のスーパーに入ったハルヒは、
安売りの食材を狙って商品棚を物色していた。

「あーハルちゃんだあ」
「ハルヒ」

そこに、聞き覚えのある可愛らしい声と、
厚みのある重低音の短い声が聞こえてきた。

「え?」

ふと振り返るとそこに立っていたのは、なんと光邦と崇だった。

ハニー先輩にモリ先輩! どうしたんですか? こんなところにお二人で」

と言いながら、ハルヒが崇の手元のビニール袋を見ると、
透明なプラスチックのケースに納められたケーキが、
沢山入っているのが見えた。

「えっとね~実は前にハルちゃんと一緒に来たときに見た、
 ざっと見て100円程度の庶民ケーキに、
 僕、すっごくはまっちゃってね~。
 あれから、たま~にだけど、崇と一緒に買いにきてるんだ。ね、崇!」
「ああ」

【ハニーは苺のショートケーキがお好き?】

「いかにも手間をかけずに作りましたっていう、
 ざらざらとした舌触りのスポンジに、
 お世辞にも滑らかとはいえない妙にクセのある生クリームが、
 時々無性に食べたくなるんだよね~」
「ああ。確かにクセになる」

相変わらず、さくっと失礼な発言をする人たちだ……、
ていうか、ハニー先輩だけじゃなくて、モリ先輩も食べるんだ……。

「へ、へえ……そうだったんですか。
 でも、わざわざなんでウチの近くの『まるとみ』に?
 ここまで来なくても、ハニー先輩の家の近くにも、
 スーパーくらいあるんじゃないですか?」
「ん~、僕らの家の近くにはこういうところは無いよね?
「ああ」
「それに、他の庶民スーパーの場所とか、僕ら知らないし」
「そうだな」

ハルヒ以外のホスト部のメンバーは、皆、良家の子息だったから、
それぞれの自宅はいわゆる『高級住宅街』にある。
ハルヒが暮らしている庶民のアパートや邸宅が密集する地域とは、
出店の事情も大きく異なるのだろう。

「あはは……そうですか。そうですよね……」

相変わらず、自分と相手の立場の違いを実感させられて、
ハルヒは乾いた笑いを浮かべながら、がくっと肩を落とした。

そんなハルヒに、てくてくと無邪気に近寄った光邦は、
ハルヒの持っている買い物カゴの中をひょいっと覗く。

「ハルちゃんは夕飯のお買い物~?」
「いえ。これは明日のお弁当用なんです。
 いつもは残り物を詰めていくんですけど、
 明日はちゃんとしたおかずを作っていこうかと」
「それって、明日は何かイベントでもあるの?」
「いえ、そういうわけではないんですけど、
 ちょっと鏡夜先輩にお詫びをしたいなと思って」
「鏡ちゃんに『お詫び』って、なんで?」
「え、ああ、それは……」

自分が鏡夜に怪我をさせてしまったからだ、と、
素直に答えを言いかけて、
ハルヒは別れ際の鏡夜の様子を思い出し、口を閉じた。

余計なことを言うな、と自分を睨んでいた鏡夜は、
別れ際、車の窓越しに見た時には、なんだかとても寂しそうに見えた。

その理由はよく分からなかったけれど、
今日部室で起こしてしまったことは、そんなに外聞の良い話ではないし、
あまり色々と言いふらすのはよくないだろう。


自分にとっても、鏡夜にとっても。


「いえ、別になんでも……」

誤魔化そうとしたハルヒを助けるように、
店内に店の閉店時間を告げる『蛍の光』が流れ始めた。

「あ、そろそろ閉店ですね。急がないと……。
 では、会計してきますので、自分はこれで失礼します」
「あ、ハルちゃ~ん?」

まだ話し足りないような光邦と、
側で黙って立っている崇に背を向けて、
ハルヒはレジに向かって小走りに駆けだした。

* * *

「……行っちゃったね、崇」
「ああ」

ビニール袋を持った崇と、光邦は顔を見合わせたあと、
スーパーの出口に歩き始めた。

「三年生は今の時期は授業がほとんど無いはずだよね。
 ハルちゃんが鏡ちゃんにごめんなさいするって、一体なんだろうね」
「さあな」

スーパーの前には、およそ庶民スーパーには相応しくない、
高級外車が一台止まっていて、
光邦と崇の二人がスーパーから出てくるのを見つけると、
運転手がきびきびとした動きで、後部座席のドアを開けた。

「ねね、崇。明日、久しぶりに桜蘭学院に行ってみようか?
 たまちゃんや、ひかちゃんや、かおちゃんにも会いたいし。
 はるちゃんが鏡ちゃんに謝るっていうのも気になるし」

車の中で早速ケーキを物色しようとした光邦の手を、
さりげなくブロックしつつ、
光邦の手が届かないように自分の体の脇にその袋を置いた崇は、
相変わらず無表情のまま、ぼそりと呟いた。

「講義は?」

なんとかケーキを手にしようと、
崇の身体越しに手をのばそうとしていた光邦だったが、
彼の大きな体に阻まれて取れないばかりか、
挙句の果てにその腕を掴まれて「家に帰ってからにしろ」と睨まれては、
どうすることもできない。

崇のケチ……でも、明日の授業って、
 一限のコミュニケーション論だけだよねえ。一般教養なら代返でも……」
「光邦」

崇は、派手に怒ることはほとんどないが、
感情の動きがほとんど無い、その能面のような表情の中にも、
相手に有無を言わさない強い意思を感じて、
光邦はぷうと膨れて足をばたばたとさせた。

「う……じゃあ、午前中の講義はちゃんと出て、
 その後で行くってことなら、いーい? 崇」
「それなら、いいだろう」

* * *

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