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『桜蘭高校ホスト部』が大好きな管理人の、二次創作サイトです。

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春色の贈り物 -1-

藤岡ハルヒ誕生日企画短編
春色の贈り物 -1- (ハルヒ&鏡夜)

ハルヒの誕生日の前日。仕事を終えた鏡夜は彼女の部屋を訪れていた。

* * *

二月四日午前零時。

日付が変わったことを、枕元の時計の針を見て確認したのか、
ハルヒの隣で横になっていた鏡夜は、
不意に腕を伸ばし、彼女の身体をぎゅっと抱きしめて小さく囁いた。

「ハルヒ。誕生日、おめでとう」

優しい言葉の後に続けて唇が重ねられると、
反射的に胸の鼓動が早くなってしまう。

何度抱きしめられても。
何度口付けを交わしても。

彼に触れられると身体や顔が、
自然と熱っぽくなってしまってなかなか治まらない。

「あ、ありがとうございます。鏡夜先輩」

別に何か特別なことをされたというわけでもなく、
ただ誕生日のおめでとうを言われて、
いつものように抱きしめられているだけだというのに、
ハルヒは鏡夜の態度にいちいち反応して慌ててしまう。

鏡夜が交通事故で入院している間は、
ハルヒの主導だった二人の関係も、
退院後は終始こんな感じで、
二人で過ごすときの主導権の大半は鏡夜が握っている。

鏡夜は、彼自身の言葉や態度で、
ハルヒが恥ずかしそうにしている様を、楽しんでいるようだ。

もっとも、鏡夜だって時には、
仕事に疲れた状態でハルヒの部屋にやってきて、
炬燵で転寝してしまうような隙を見せてくれることもなくはなかったけれど、
滅多なことでは、ハルヒが彼の弱みを握れるようなチャンスは巡ってこない。

大体、彼に抱き寄せられてしまえば、
それだけで、もうハルヒの敗北は確定したも同然だ。

鏡夜に抱きしめられると、
身体は震えるし、恥ずかしくなるし、まともに彼の目を見れないし。

一体、いつまで緊張しているつもりなんだと、
ぎこちない様子を何時もからかわれて、
むくれて、彼の顔を睨み返してみても、
そこでキスをされてしまえば、あれよあれよというまに彼の独壇場。


もう、降参するしかない。


「……で、きちんと休みは調整したんだろうな?」

やっと離れてくれた唇から、ややこちらを疑うような言葉が漏れる。

「ええ、ちゃんと今日と明日は休みにしましたよ?」
「忘れてなかったんだな」
「だって……忘れたら後が怖いし……」

高まった熱が徐々に引いていく中で、ハルヒはぼそぼそっと不平を口にする。

「ん? 何か言ったか?
「い、いえ何も……」

首を小さく横に振りつつ、
ハルヒは鏡夜に表情を読まれないように、
掛布団の端を口元まで引っ張りあげた。

「でも平日に休みを取れだなんて、どこか遠出でもするんですか?」
「まあな。どうしても今日、お前に見せたいものがあってね」

視線を左にちらっと流して鏡夜を見ると、
鏡夜は枕の上に右腕の肘を突いて、右手で頭を支えてつつ、
身体を横にしてハルヒのことをまんじりと見つめている。

「み、見せたいものって……一体、何ですか?」

一度は引きかけた熱がまた上がってきそうな気配がして、
ハルヒが掛布団を目深にずりあげて、鏡夜の視線から逃れようとすると、
その態度をまた笑われてしまった。


「それは、起きてからのお楽しみだ」


結局、もったいぶった鏡夜は、
何一つはっきりとしたことをハルヒに教えないままに、
眠りについてしまったのだった。

* * *

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