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『桜蘭高校ホスト部』が大好きな管理人の、二次創作サイトです。

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三つめの宝物 -7-

三つめの宝物 -7- (ハルヒ)

鏡夜とハルヒの、ここ最近の状況の変化について、双子から聞きつけたメイは、
ハルヒから自分に、付き合い始めたことの連絡
が無いことを怒っていて……。


* * *

 『まあ、あんたの無神経なところは今に始まったことじゃないし、
 今更言っても、しょーがないことかもしんないけどね。
 で、鏡夜君とはどんな感じなの? うまくいってんの?』
「ど、どんな感じって、まあそれなりに……、
 明日は一応、先輩の誕生日だから一緒に過ごそうかなとか……』
ちょっと待った! あんた達、付き合ってるんでしょ?
 なのに、まだ鏡夜君のこと「先輩」とか呼んじゃってるわけ?』
「だって、呼び慣れてるし、今更変えるの変じゃん」
『……って、あんたら、付き合い始めてどれくらいになんの?』
「付き合い始めて? えーと……」

彼から告白されて、初めて彼の手を取った、
あの六月から数えるなら、そろそろ半年だし、
一度別れたところでリセットして、
八月からとするなら、三か月ちょっとといったところだろうか。

「……まあ、多分、半年くらいって言っていいと思うけど……」
『あ? 最近付き合いだしたんじゃなくて、もう半年にもなんの!?』

電話の向こう側で、ものすごい大きな溜息をつかれてしまった。

『そんなに経つのに、未だ「先輩」って、マジ、ありえないんですけど。
 大体自分の男だったら、呼び捨てで良くね?』
「お、おと……男って、メイちゃん……」

危ない危ない。

いきなりメイが変なことを言ってくるから、
携帯電話を落としそうになって、
ハルヒはすんでのところで、手の中から滑り落ちそうな携帯電話をキャッチした。

『ん、でも半年ってことは、もしかして、
 明日は付き合って初めて一緒に過ごす誕生日ってこと?』
「まあ、そういうこと……かな」
『へえ……で? で? 流石のあんたでも、
 何かプレゼントとか用意しちゃったりしてんの?』
「ううん、別に何も」
『何も!?』

一瞬、柔らかくなったトーンが、
またツンツンと尖ったそれに戻ってしまった。

『……って、マジで? 初めて一緒に過ごすんでしょ? 
 それでプレゼント用意してないって、それ、ちょ、マジで?』
「あ、でも、ウチに来る予定だから、
 料理はそれなりに豪華に作ろうかなって。
 タイムサービスじゃなくて、ちゃんとした高めのお肉を買って……」
『料理はいい案かもしんないけどさ、
 他に、プレゼントくらいちゃんと用意してあげれば?
 男って単純だから、そういうの喜ぶと思うし』
「そ、そうなのかな?」

半信半疑で聞き返しつつも、
ハルヒの部屋の合鍵を、思い出だからといって、
使いもせずにずっと密かに持ってた鏡夜の行動をハルヒは思い出していた。

『そうそう。なのにさー、面と向かって、
 欲しいっつー素振りは全然見せようとしない、
 無駄にメンドウでプライドの高い人種なのよ。男なんて』
「あはは。男の人の一般論は良くわからないけど、
 鏡夜先輩がプライド高いってのは確かにそうかも」
『あ! また先輩って言った!』
「……急に直すのは無理だって」

もう、何年も「先輩」と呼んできたのに、
今更呼び捨てとか……百歩譲って例えば「鏡夜さん」とか……。


……無理。絶対、呼べない。


「でも、プレゼントってどんなもの買ったらいいんだろう? 
 何かメイちゃん思いつくものある?」
『うーん……まあ、確かにあれだけ金持ちの人に、
 あげるものっていっても、ちょっと難しい気はするけど……』
「でしょ? それに、私、まだ仕事残ってるし、
 多分、ここ出れるの終電ギリギリになるから、
 買い物行ってる時間ないよ。
 明日は多少早く切り上げるつもりだけど、
 それでもデパートの閉店には間に合わないと思うし。
 近所のスーパーなら遅くまでやってるから、食材は大丈夫だけどね。
 ……スーパーに売ってる衣料品じゃだめだよね?」
当り前でしょ! それなら、買っていかない方がマシ』
「あははは。それはそうだよね……」

スーパーの片隅に、申し訳程度に並んでいる、
安物の大量生産的衣料品の一つを手にとって、
呆けている鏡夜の姿を想像してしまって、ハルヒは苦笑いする。

『はー。それにしても、やっぱ、弁護士ってすんごい忙しいんだね』
「まだ、私は上手く仕事が進められないのもあるから、
 余計に時間がかかっちゃって。
 でも、メイちゃんはすごいよね。三年目でもう店長だもんね」
『こんなのまだまだ、ぜーんぜん。
 最終的なあたしの夢は自分の店を出すことなんだから。
 チェーン店の店長で終わる気ないもん』
「そっか」
『ところで、ハルヒ、あんたさあ……
「何?」
『……』

ここまで、間髪入れず早口で、
こちらに言葉を浴びせかけていたメイが、
ハルヒに呼びかけたところで、急にぴたりと口を閉じてしまった。

「メイちゃん?」
『……ううん、やっぱいいや。なんでもない。
 じゃ、あたしも、レジ締めて今日の売上報告しないといけないから、
 そろそろ切るわ。じゃあ、またね!』
「あ……」

突然、発生した突風が、
自分に向かってやってきて、直撃して、
ものすごいスピードで一気に通過していったような、そんな気分。

今日の突然のメイの電話の目的は、
「今、付き合っている」というハルヒと鏡夜の今の状況を、
ハルヒの口から直接聞きたかっただけのようで、
何か、メイからハルヒに急ぎの用事があるというわけではないようだ。

メイはハルヒにとって、大事な友達の一人だから、
今日の電話だけで終わらせるのではなく、
日を改めて時間を取って、ゆっくりお茶でもして、
ちゃんと鏡夜と自分との間の事の経緯を説明する必要はあるだろうが、
それにしても、電話の最後の方で、
メイが何かを言いかけて止めた態度が、
ハルヒの心に少しひっかかっていた。


メイちゃん、何を私に言いたかったのかな?


* * *

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