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『桜蘭高校ホスト部』が大好きな管理人の、二次創作サイトです。

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傷ついた鳥達 -4-

傷ついた鳥達 -4- (鏡夜&環)

インターホンの向こう側から聞こえてきたハルヒの叫びの中に、
環への贖罪の想いを感じ取った鏡夜は……。


* * *

忘れてはいけない。

ハルヒ、それが……お前の本当の心の声か?

* * *

「鏡夜! すごいことを思いついたぞ。ひとつ、俺と勝負しないか?」


いつものようにキラキラした瞳で、
子供のような無邪気な表情……桜蘭高校でホスト部の活動をしていたときと、
全く変わらない様子で、唐突に環は鏡夜に向かってそう切り出した。

度重なる突拍子もない申し出には、すっかり慣れたとはいえ、
お互いもう立派に社会人だというのに、相変わらずな調子に、
鏡夜はいつものように、やれやれと溜息をつく。

「環。お前はいつまで学生気分なんだ? どうせまた、くだらないこと……」
「ハルヒが大学を卒業するまでに」

『ハルヒ』という名前に、少し目を細めるようにして、相手の様子を伺うと、
先ほどまで、はしゃいだ様子だった環が、
急に真剣な様子で、じいっと鏡夜の顔を見つめている。

「俺がハルヒの心を奪えたら、俺の勝ち」

「……ほう?」

一瞬の間をおいて、意地の悪い笑みを浮かべる鏡夜。

「晩熟のお前にしては随分建設的な勝負だな。
 で、奪えなかったら、どうなるんだ?」
「奪えなかったら、そのときは……」

あの馬鹿は、あの後、俺になんと言ったのだったか。

確かにはっきりと聞いたはずの言葉が、
今は、なんだか上手く思い出せない。

そして、勝負の結果。

結局、環は期限ぎりぎりの最後の最後に、
見事にハルヒの心をかっさらっていってしまったのだ。


美しくも儚く、強く鋭い言葉を、
彼女の胸に奥深くに、一方的に刻みつけることで。



環、確かにお前は、
ハルヒのことを誰よりも愛していたかもしれない。

お前の行動や言葉を、記憶の中で振り返る度に、
お前のことはすごい奴だと思うし、
底が知れないエネルギーと行動力は、
決して自分には無いものなのだと思い知らされる。

だがな、環。

俺は中学時代にお前に出会って、お前に諭されたときに決めたんだ。

何もせずに諦めることはもうしないと。
だから……。


俺は俺のやり方で、ハルヒを救う。


鏡夜は、右手のこぶしをぎゅっと握りしめ、


「お前が自分から開ける気がないのなら、仕方ない」


強い口調でそう言い切ると、目の前の扉を睨みつけた。

* * *

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