忍者ブログ

『桜蘭高校ホスト部』が大好きな管理人の、二次創作サイトです。

Suriya'n-Fantasy-World

[PR]

×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。


切なき秘め事 -5-

ホワイトデー企画短編
切なき秘め事 -5- (鏡夜&ハルヒ)

蘭花が気をきかせて席を立ち、二人っきりになった途端、鏡夜は不機嫌な様子でハルヒを怒った。
心配してくれている鏡夜に申し訳ないと謝っていたハルヒだったが、急に不自然に口をつぐみ……。

* * *

蘭花に言われたように、
不器用かつ無自覚な彼女の性格、
最近は無自覚の方はやや改善しつつあるようだが、
それでも未だに、感情表現が苦手なハルヒのことは、
自分なりに理解があるつもりだったし、
風邪をひいて具合が悪いということを、
素直に伝えてくれなかったことにいくら腹を立てても、
心配をかけたくなかったから、と言われれば、
鏡夜のことを考えてのことだと思えば、
それほど強く怒るわけにもいかない。

だが、今のハルヒの様子は少し妙だった。

心配をかけたくないと言った後、
最後に一瞬、何か別の事をぽろっと言いかけて、
それに気付いて慌てて口を閉じたからだ。

「ハルヒ、正直に言え。お前、俺に一体何を隠してるんだ?
 今回の嘘は俺に心配をかけたくないから、だけじゃないのか?」
「……別に……なんでもないです……よ?」

と、言いつつ明らかに鏡夜の視線を避けようとする彼女。

「メールの文章ならともかく、こんな目の前で、
 お前の分かりやすい嘘に俺が騙されると思うのか?」

追求しつつ、眠る彼女に顔を近づけたら、
ハルヒは慌てて右手で、自分自身の口の上を覆った。

「……あの、先輩、あんまり近づくと、
 感染るかもしれませんから……せめてマスクとか……」
「感染させたくないんだったら、さっさと言え。
 『また』と言うからには、俺が前に何かお前にしたことで、
 何か言いたいことを隠しているのか?

「違います。そんなんじゃ……わかってください……」
「だから、そういう嘘はきかないと……」
「だから、嘘じゃなくて……『話したくない』って、そう……言ってるんです!!

突然、大声でわめいた後、
ハルヒは右手でばっと布団をひっぱって、
頭の上まですっぽり覆ってしまった。

「ハル、ヒ……?」

点滴が繋がった左手だけは出したまま、
唐突に布団の中へ逃げ込んでしまった彼女の態度に、
唖然としていると、ハルヒのたどたどしい声が聞こえてきた。

『……すみません……嘘をついたのは……、
 申し訳ないと思ってます……でも……話したくない……んです』


布団の中でけほけほと、小さく咳き込む音が聞こえる。

『私は……大丈夫ですから、お父さんもいますし……、
 鏡夜先輩は早く……仕事に戻ってください。
 今日のお詫びは……治ったら……ちゃんとしますから……』

一度、大きな喧嘩をして以来、
こういう感じで、ハルヒと言い合いをする機会はなかった気がする。

大抵、自分が一方的にハルヒをからかって、
それに照れるか、拗ねたハルヒがその言葉に食ってかかってくる、
傍から見れば「痴話喧嘩」のレベル程度の言い合いしかしていなかったから、

そんな折、久々に、かなり深刻な様子で、
鏡夜の言葉に対する、彼女のはっきりとした拒絶の言葉を聞かされて、
傷つかなかったと言えば嘘になる。

「……お前に言われるまでもなく、
 どうしても外せない仕事がひとつ入っているからな。
 そろそろタイムリミットだ」

少々、嫌みっぽくなってしまったことには、
言ってしまってから反省した。

だが、とにかくハルヒも熱を出して弱っている状況で、
これ以上、強引に問い詰めても、
答えが引き出せないどころか、
ハルヒの状態をも悪化させそうな気もするし、
いくら腹が立っているとはいえ、流石にそこまではしたくない。

「……具合が悪いのに、強く言って悪かったな」
『……』

少し怒りのトーンを落としてみたが、
布団を被ったままのハルヒは、一向に顔を出そうとしないので、

「とにかく今はしっかり休んで、早く治せ」

鏡夜は、彼女を気遣う言葉を一言言い残すと、
病室を後にすることにした。

* * *

PR
04 2025/05 06
S M T W T F S
1 2 3
4 5 6 7 8 9 10
11 12 13 14 15 16 17
18 19 20 21 22 23 24
25 26 27 28 29 30 31

プロフィール

HN:
Suriya
性別:
女性

バーコード

<<乙女ロードの近くで模擬試験(苦笑)  | HOME |  切なき秘め事 -4->>
Copyright ©  -- Suriya'n-Fantasy-World --  All Rights Reserved
Designed by CriCri / Top-Photo by Suriya / Background-Photo by 壁紙職人 / Powered by [PR]
/ 忍者ブログ