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『桜蘭高校ホスト部』が大好きな管理人の、二次創作サイトです。

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三つめの宝物 -6-

三つめの宝物 -6- (ハルヒ)

蘭花が鏡夜に電話をかけてきてから、数時間後。都内某所、弁護士事務所内にて。


* * *

今日は、色々と外に出かける用事が詰まっていたから、
外回りの用事を全て終えて、ハルヒが事務所に戻ってきた時には、
もうすっかり日も暮れて、時刻も午後八時を回っていた。

とはいえ、弁護士事務所内には、まだまだ人は残っているし、
当然、ハルヒ自身も未だ家に帰ることはできない。
むしろ、外回りから事務所に帰ってきてからが、業務の本番ともいえる。

すっかり冬めいて、空気も冷たくなった11月下旬。

冬物の地味な黒いコートを脱いで、それを無造作に机の隅に置き、
椅子に座って、散々歩き回って疲れた足のふくらはぎを、
トントンと軽く拳で叩いてマッサージした後で、
よし、やるぞー! と気合を入れて一度背伸びをしたハルヒは、
机の上に置かれたパソコンの電源を立ち上げた。

起動を待っている間、足もとに置いた鞄から、
手帳や携帯電話を取り出していると、
机の上に置いた携帯電話が、着信を知らせてピカピカ光った。


『ちょっと、あんた、一体どうゆうつもり!?』


聞こえてきた第一声は、
なんだかとても興奮している女性の声だった。

「あの……メイちゃん……だよね? 久しぶりだね。
 でも、何をそんなに怒ってるの?

メイとは、ここ二年ほど会う機会がなかったし、
メイがハルヒに電話をくれるのも、
今年に入ってからは初めてのことだった。

『何をって……怒るにきまってんでしょ?
 こんなにも重大なことを、あたしに連絡してこないって、
 あんた、どーゆう神経してんのよ!』
「重大なこと?」

しばらく交流がなかったはずなのに、電話に出るなり、
かなりのハイテンションで一方的に怒られてしまうなんて、
全く意味が分からない。

『だーかーらぁ』

間抜けた表情のままハルヒが問い返すと、
気だるそうな声が返ってきた。

あんたと鏡夜君が、今、付き合ってるって、
 光君と馨君に聞いたんだけど? それマジなの?』
え!? えっと、それは……まあ……うん」
あ!? 何? 今なんつった? ぜんっぜんこっち聞こえないんですけどー?』
「えっと、ごめんメイちゃん、ちょっと待って!」

口元を手で抑え、小声で謝りながら、
ハルヒは素早く席を立った。

ハルヒが所属しているこの弁護士事務所は、
籍を置いている弁護士を『個人営業扱い』にしているため、
一般的な会社員のように、
特に決まった業務時間というものは設けられていない。

だから、私的な電話にそれほど、
目くじらを立てられるというわけでもないのだが、
恋愛がどうとかいう話を、事務所の中ですることは流石に憚られる。

ハルヒは携帯を耳に当てながら、
事務所の入り口のガラス扉を開けて外に出ると、
エレベーターの脇にある、ビル備え付けの給湯スペースに駆け込んだ。

幸い、今、給湯室を使っている人はいないようだ。

「えっと。ごめんね。その……まあ……うん。
 だからその、付き合って、る……と思う、よ……」
思うって何よ』
「だからその……付き合って……ます

恥ずかしさに赤面しながらも、
ちゃんと答えたら、メイも静かになってくれるだろうと考えて、
小さな声ながらも、はっきり鏡夜との関係を肯定してみたところ、

『つーか、あんたマジひどくね?』

ハルヒの答えを聞いたメイは、
鎮まるどころか、更に興奮した様子で怒鳴りつけてきた。

『そりゃ、あたしも今年から、店一つまかされて忙しかったから、
 あんまり、あんたに連絡もしてなかったけどさ。
 フツー、そういうことは一番に女友達に連絡してくるもんじゃねーの?

ハルヒの父、蘭花の職場(オカマバー)の同僚の一人娘であるメイは、
ハルヒと同い年なのだが、
高校卒業後、服飾の専門学校に三年間通った後、
ハルヒが大学四年の時に、アパレル関係の仕事に就職したから、
社会人としては、今年で三年目。

大学卒業後、約一年の司法修習を経て、
ようやく今年、弁護士活動を本格的に始めたハルヒよりも、
社会人歴でいうと二年も先輩、ということになる。

「そ……そうだね。そうだよね。なんか色々バタバタしてて。
 ちゃんとこっちから連絡しなくて、ごめんね、メイちゃん」

給湯室の中に、誰か入ってきやしないかと、
ちらちら外を気にしながら、
ハルヒは、自分と鏡夜の事を聞きつけて、
わざわざ電話をかけてきてくれたメイに悪いと思って、即座に謝った。

『まあ、あんたの無神経なところは今に始まったことじゃないし、
 今更言っても、しょーがないことかもしんないけどね』

嫌味はちくりと言われたものの、
ハルヒの素直な謝罪を聞いて、
ようやくメイの怒りを収めてくれたらしい。

興奮状態だった怒りの口調を、
やっと平常モードに戻したメイは、、
小さな笑い声を交えつつ、ハルヒにこう突っ込んできた。


『で、鏡夜君とはどんな感じなの? うまくいってんの?』


* * *

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